日本軍「山西残留」―国共内戦に翻弄された山下少尉の戦後

原文摘录   · · · · · · 

• 総攻撃は太原の周囲の城壁めがけて一斉に撃ち込まれる援護の集中砲撃によって火ぶたが切って落とされた。大地を揺り動かす轟音が一刻も休みなく続く。城壁の発火点も懸命に応戦するが、またたくまに圧倒され、片端から打ち崩されていく。大東門·小東門一帯の堅固だった城壁が次々と崩されていく。 すると、たちまち解放軍の先頭に、鮮やかな色の大きな紅旗がぱっと押し立てられた。それが合図ででもあったように、こんどは全線にわたり、そこからもここからも紅旗が押し立てられ、それらが一線に連なり、城壁を取り巻いて揺れなびいている。その美事さに、私は気を呑まれてしまった。 じっと見ていると、先ず砲兵が目標の敵陣に猛砲火を浴びせかける。と見るまに銃をもたない旗手がぱっと躍り出て、ツツツツと前に走り、次の壕にがっしりと紅旗と立てる。間髪をいれず、一個小隊ばかりの兵がさっとその一線に進み出て壕に入る。その間にまた別の旗が進んでゆく。 ここがはじまるかと思うと、あちらがはじまる。全線にわたって砲撃と進軍が繰り返され、大きい旗小さい旗がたがいに競い合い、一つが前に出たかとおもうとまた一つが追い越してゆく。 太原城がこうして刻々と鉄の輪で締め上げられていくのが手に取るようにわかる。城壁の周囲はすべて紅旗で埋め尽くされてしまった。 いよいよ先頭が城壁の一角に近づいたとき、奇妙な一隊が迅速に前に駆け出した。手ぬぐいで鉢巻をした民兵だ。彼らが、長いハシゴを抱えて城壁へまっしぐらに進む。機関銃の援護のなかで、兵士がそのハシゴをするすると登っていく。見る見るうちに、城壁のそこここに紅旗がひるがえった。 最後に前面の首義門がぱっと開かれた。日本軍の占領以来十五年のあいだ、難攻不落の陣地となっていた大門である (查看原文)

  Nanoka 2016-04-12 19:47:52