维基百科:梦枕獏
夢枕 獏(ゆめまくら ばく、1951年1月1日 - )は、神奈川県小田原市生まれの日本の小説家、エッセイスト、写真家。本名は米山 峰夫(よねやま みねお)。神奈川県立山北高校、東海大学文学部日本文学科卒業。男性。
目次
1 人物・概要
2 経歴
3 作品リスト
4 翻訳
5 出演
5.1 その他のテレビ番組
6 脚注
7 外部リンク
人物・概要
10歳から小説家を志し、大学卒業後は編集者をしながら作家活動と考えていたが、就職に失敗してしまい山小屋で働く。
作品については本人曰く、「エロスとバイオレンスとオカルトの作家」で、密教的要素を散りばめたエログロの伝奇バイオレンスや、ひたすら男たちが肉弾戦を演じる本格格闘小説を得意とする。しかしながら商業デビュー直後はそのような得意ジャンル一本槍では無く、集英社コバルト文庫他で少女向け小説やジュヴナイル・ノベルなども執筆した。
安倍晴明を主役とした『陰陽師』シリーズは、近年の晴明ブームのきっかけとなった。
また漫画の原作となった作品も数多く、中でも『餓狼伝』は谷口ジロー、板垣恵介、『陰陽師』は岡野玲子、『荒野に獣慟哭す』は伊藤勢という実力派によって漫画化された。中でも「サイコダイバー・シリーズ」は手を変え、作者を変え、幾度も漫画化されており、アニメ化もされている人気作品である。
夢枕自身も漫画マニアであり、テレビ番組『BSマンガ夜話』の準レギュラーでもある。
旅行や釣りが趣味で、ヒマラヤ登山や、玄奘三蔵の歩んだ道を追体験するルート、アラスカの原野紀行などのハードな冒険にも挑んでいる。ヒマラヤ登山を扱った著作に、『神々の山嶺』がある。釣りに関しては、「川の学校」で講師を務める等造詣も深い、中でも鮎釣りに熱中しておりチンチン釣り(餌釣り)を得意としていて解禁日ともなると執筆意欲が削がれるほど鮎に焦がれてしまう。
ファン想いな面も強く、若いファンの過失を自らには過失が無いにも関わらず共に頭を下げたり、ファンの不幸に関しては見舞いや葬儀への参列も苦としないなど、人格者と慕われている。「子供はみんな可愛いけれど自分の子供が一番可愛い」と発言した事も有るが、人間の本性としてファン達には理解された。
本人は格闘技経験は無いものの、熱心なプロレス・格闘技ファンであり、その方面の著作も多数存在する。『空手道ビジネスマンクラス練馬支部』では、格闘技経験のない中年男性が武道に出会い、体験する様をリアルに描写するためにモデルとなった大道塾に一日入門し、倒れるまで稽古に参加した。プロレス業界では「関節技の鬼」の異名をとる藤原喜明に実際に数十の関節技をかけてもらうなど(本人いわく「自殺志願者でもあの痛みからは逃れようとするだろう(大意)」)、リアリズムの追求のための体当たりな取材には人気が高い。また、K-1の提唱者のうちの一人でもある。
オウムガイなどに代表される「螺旋」をモチーフにした作品も多く発表している。
数々の作品を手がけるが、複数のシリーズを平行して執筆しており、一部の中編(単行本一冊程度)を除き現在までに完結した長編小説は少ない。これは短い話の予定で始めたシリーズの構想がふくらんで長期化したり、さらに新たなシリーズを始めたりするためである。また雑誌の都合による休載作品もある。本人いわく、残りの人生(寿命)を逆算しても書き上げる事が出来るかどうか不安な程の構想を抱えていた。そのため2008年に刊行された『キマイラ』新版の序文において、「一作書き上げたら次の一作を書く」執筆方式にシフトし、2011年までに『キマイラ』と『餓狼伝』、及び『陰陽師』以外のシリーズ連載を全て終了させるという構想を語った[1]。
別名義でも作品を発表している[2]。
経歴
1977年
筒井康隆が主宰する同人誌『ネオ・ヌル』にタイポグラフィック作品『カエルの死』を発表。同品が『奇想天外』8月号に転載されデビュー。また、小説でのデビューは同じ『奇想天外』同年10月号に掲載された『巨人伝』(後に『はるかなる巨人』と改題。これは同人誌『宇宙塵』に紹介され、(柴野拓美が本質を掴めず、自宅から近かった事もあり直接説明を受けて納得して「宇宙塵」に掲載した物である)。
1982年
『キマイラ・吼』シリーズの第一作『幻獣少年キマイラ』をソノラマ文庫から刊行。
1984年
サイコダイバー・シリーズ「魔獣狩り」シリーズの第一作『魔獣狩り(淫楽編)』を祥伝社から刊行。一躍ベストセラー作家となる。
この儲けで豪邸を建てたため、「淫楽御殿」と呼ばれる。
1997年
『ハイエナの夜』がビームエンタテインメントにより映画化。
1988年
『陰陽師』シリーズの第一作『陰陽師』を文藝春秋から刊行。
1989年
第10回日本SF大賞を『上弦の月を喰べる獅子』で受賞。
1990年
第21回星雲賞(日本長編部門)を『上弦の月を喰べる獅子』で受賞。
1991年
第22回星雲賞(日本短編部門)を『上段の突きを喰らう猪獅子』で受賞。
1998年
第11回平成10年度柴田錬三郎賞を『神々の山嶺』で受賞。
2001年
『陰陽師』が東宝で映画化。主役の安倍晴明を狂言師野村萬斎が演じ、大ヒットする。
2003年
『陰陽師II』が劇場公開される。
手塚プロダクションの映画、『ぼくの孫悟空』の脚本を担当する。
2007年
『大帝の剣』が東映で映画化。4月7日より公開。
2011年
『大江戸釣客伝』で第39回泉鏡花文学賞受賞。
『大江戸釣客伝』で第5回舟橋聖一文学賞受賞。
2012年
『大江戸釣客伝』で第46回吉川英治文学賞受賞。
作品リスト
カエルの死
ねこひきのオルオラネ 1979.4 (集英社文庫コバルト) 「猫弾きのオルオラネ」ハヤカワ文庫
遥かなる巨神 双葉ノベルス 1980.12 のち文庫、角川文庫、創元SF文庫
キラキラ星のジッタ 1980.12 (集英社文庫コバルト)
幻獣変化(涅槃の王)1981.11 双葉社 のち角川文庫(完結)
「キマイラ・吼」シリーズ 1982.07- ソノラマ文庫、朝日ソノラマ単行本、ソノラマノベルス(未完)
「闇狩り師」シリーズ 1984.01- 徳間ノベルス、徳間デュアル文庫(1984.01-/未完)
サイコダイバー・シリーズ 1984.01-2010.10 祥伝社ノン・ノベル のち祥伝社文庫
「魔獣狩り・シリーズ」(完結)
「新・魔獣狩り・シリーズ」(完結)
悪夢喰らい 角川書店 1984.10 のち文庫
「獅子の門」シリーズ 1985.08- 光文社(連載中)
こころほしてんとう虫 ロマンチック・メルヘン 1985.3 (集英社文庫コバルト)
悪夢展覧会 徳間書店 1985.5 のち文庫
魔獣館 伝奇小説傑作集 祥伝社 1985.6
半獣神 光風社出版 1985.8 のち角川文庫
獣王伝 夢枕獏ワールド シャピオ 1985.10 のち角川文庫
倒れて本望 第一エッセイ集・プロレス入り 集英社 1986.2 のち光文社文庫
黄金宮シリーズ 1986.04- 講談社ノベルス のち文庫(未完)
「大帝の剣」シリーズ 1986.11- 角川ノベルス、角川文庫、エンターブレイン(連載中)
「印度怪鬼譚」シリーズ 1987.05-1989.05 徳間ノベルス
「餓狼伝」シリーズ 1985.07- 双葉ノベルズ のち文庫(連載中)
ハイエナの夜 ソフトボイルド・カメラマン 徳間ノベルス 1986.7 のち文庫、光文社文庫
風果つる街 実業之日本社 1987.2
ガキのころから漫画まんがマンガ 講談社 1987.3
怪男児 出雲あやめ18歳純情にして凶暴 集英社 1987.6 のち文庫
場外乱闘である 対談集 徳間書店 1987.8
歓喜月の孔雀舞 新潮社 1987.11 のち文庫、徳間文庫
青狼の拳 双葉ノベルス 1987.12
奇譚草子 講談社 1988.1 のち文庫、文春文庫
月に呼ばれて海より如来る 広済堂出版 1988.3 のち徳間文庫
悪夢で乾盃 角川書店 1988.4 のち文庫
「陰陽師」シリーズ 1988.08- 文藝春秋 のち文庫(未完)
格闘漂流・猛き風に告げよ 私説UWF伝 集英社 1988.8 のち文庫
幻花曼陀羅 講談社 1988.10
鮎師 講談社 1989.4 のち文庫、文春文庫
光の博物誌 Yumemakura Baku photo essay 小学館 1989.6 (Be-pal books)
風果つる街 実業之日本社 1989.8 (Joy novels) のち角川文庫
上弦の月を喰べる獅子 早川書房 1989.8 のち文庫
仰天・プロレス和歌集 集英社 1989.11 のち文庫
仕事師たちの哀歌 プロレス小説 集英社 1989.11 のち文庫
神々の国人の国 夢枕獏純情写真館 双葉社 1989.11
只今、獏談中 バトルロイヤル・トーク集 大陸書房 1989.12
旅に果てたし 獏の夢喰い浪漫 広済堂出版 1990.5
荒野に獣慟哭す 1990.04-2000.05 ジョイ・ノベルス のち完全版(完結)
神獣変化(涅槃の王)1991.12-1996.04 祥伝社、桃園書房(完結)
夢枕獏・あとがき大全 あるいは物語による旅の記録 波書房 1990.12 「あとがき大全」文春文庫
鳥葬の山 文芸春秋 1991.1 のち文庫
緑の迷宮 マヤ文明・ユカタン半島幻想紀行 ネイチャリングスペシャル 全国朝日放送 1991.11 のち小池書院道草文庫
仰天文学大系 集英社 1991.2 「慶応四年のハラキリ」集英社文庫)
妖樹・あやかしのき 1991.2 (徳間文庫) のち光文社文庫
牙の紋章 祥伝社 1991.4 のち文庫
混沌の城 光文社 1991.9 のち文庫
螺旋王 天野喜孝画 徳間書店 1992.1
戦慄!=業界用語辞典 講談社 1992.3 のち文庫
仰天・文壇和歌集 集英社 1992.5 のち文庫
夢枕獏少女マンガ館(編)1992.6 (文春文庫)
鬼踊りにて候ふ 波書房 1992.10
純情漂流 角川書店 1992.11 のち集英社文庫
空手道ビジネスマンクラス練馬支部 講談社 1992.12 のち文庫
仰天・平成元年の空手チョップ 集英社 1993.3 のち文庫
聖楽堂酔夢譚 本の雑誌社 1993.4 のち集英社文庫
生命の水の物語 夢枕獏の世界水紀行 日本テレビ放送網 1993.6
牙鳴り 祥伝社 1993.7 (Non novel) のち文庫
地平線物語 双葉社 1993.10
群狼の旗 ベースボール・マガジン社 1994.6 のち幻冬舎文庫
悦楽の旅人 PHP研究所 1994.8
西蔵回廊 カイラス巡礼 東京書籍 1994.9 のち光文社知恵の森文庫
夢枕獏の外道教養文庫 1994.10 (小学館ライブラリー)
その日暮らしの手帖 マガジンハウス 1995.1
瑠璃の方船 文芸春秋 1995.4 のち文庫
絢爛たる鷺 波書房 1995.5 のち集英社文庫
ほのかな夜の幻想譚 コスミックインターナショナル 1995.6
聖玻璃の山 「般若心経」を旅する 早川書房 1995.10 のち小学館文庫
雨晴れて月は朦朧の夜 波書房 1996.6 のち角川ホラー文庫
猫待ち月夜 その日暮らしの手帖2 マガジンハウス 1996.2
風太郎の絵 1996.10 (ハヤカワ文庫)
本朝無双格闘家列伝 新潮社 1996.11 のち文庫
本日釣り日和 釣行大全 あんず堂 1997.2 のち中公文庫
釣り時どき仕事 読売新聞社 1997.8 のち中公文庫
揺籃鬼の祭 初期作品集 双葉ノベルス 1997.8
神々の山嶺 集英社 1997.8 のち文庫
本日も夢見ごこち あんず堂 1997.10
羊の宇宙 たむらしげる絵 講談社 1998.2
平成講釈安倍晴明伝 中央公論社 1998.4 のち文庫
空気枕ぶく先生太平記 フレーベル館 1998.5 のち集英社文庫
仰天・夢枕獏 夢枕獏全仕事 特別号 夢枕獏事務所編 波書房 1999.1
果実の森 あんず堂 1999.10
B-1ザウルスの盃 行った、見た、遊んだ… 横山正美撮影 世界文化社 2000.7
黒塚 KUROZUKA 集英社 2000.8 のち文庫
腐りゆく天使 文藝春秋 2000.10 のち文庫
ものいふ髑髏 集英社 2001.8 のち文庫
鬼譚草紙 天野喜孝 朝日新聞社 2001.8 のち文庫
摩多羅神の贄 あんず堂 2003.8
空海曼陀羅 日本出版社 2004.4
沙門空海唐の国にて鬼と宴す 徳間書店 2004 のち文庫
シナン 中央公論新社 2004.11 のち文庫
夢枕獏全仕事 熱い幻想 一迅社 2006.4 (一迅社ビジュアルbookシリーズ)
楊貴妃 天野喜孝画 エンターブレイン 2006.6
格闘的日常生活 正続 講談社 2006-2007 (KCピース)
あめん法師 げんげんげんきげんきに濡れよ(詩)佐藤秀明写真 三五館 2007.7
薀蓄好きのための格闘噺 毎日新聞社 2007.9
獏さんのぽちぶくろ 日本出版社 2008.2
萬福寺 仙石泰山共著 淡交社 2008.3 (古寺巡礼京都)
毎日釣り日和 毎日新聞社 2008.5
東天の獅子 双葉社 2008
愚か者の杖 五大陸釣魚紀行 佐藤秀明撮影 徳間書店 2008.11
夢枕獏の奇想家列伝 2009.3 (文春新書)
月神祭 古代インド怪異譚 徳間ノベルス 2010.4
楊貴妃の晩餐 天野喜孝,叶松谷共著 角川書店 2010.4
天海の秘宝 朝日新聞出版 2010.7
投竿翁遊々日記 PHP研究所 2010.8
幻想を超えて アルボムッレ・スマナサーラ共著 サンガ 2010.6
超高層ハンティング
大江戸恐龍伝
「知るを楽しむ この人この世界 夢枕獏 奇想家列伝」NHK
パズル雑誌「ニコリ」にてエッセイを連載(終了)[3]
翻訳
サンドマン 夢の狩人-ドリームハンター /ニール・ゲイマン インターブックス 2000.10
出演
その他のテレビ番組
いのちの響(TBSテレビ)
ソロモン流(テレビ東京)2009年1月4日放送
マンガ夜話
きらり!東北の秋 秋の魅力満載! 東北ローカル鉄道の旅(2011年10月25、26日、BSプレミアム)旅人
脚注
^ ソノラマノベルス版『キマイラ』1巻、p.5-10
^ asahi.com(朝日新聞社):秘密ペンネーム、8人で筆名共有…変わりゆく「作家像」 - ひと・流行・話題 - BOOK
^ 夢枕獏公式HP 蓬莱宮
外部リンク
夢枕獏公式HP 蓬莱宮
夢枕獏公式Blog「酔魚亭」
夢枕獏『遙かなる巨神』創元SF文庫版まえがき
目次
1 人物・概要
2 経歴
3 作品リスト
4 翻訳
5 出演
5.1 その他のテレビ番組
6 脚注
7 外部リンク
人物・概要
10歳から小説家を志し、大学卒業後は編集者をしながら作家活動と考えていたが、就職に失敗してしまい山小屋で働く。
作品については本人曰く、「エロスとバイオレンスとオカルトの作家」で、密教的要素を散りばめたエログロの伝奇バイオレンスや、ひたすら男たちが肉弾戦を演じる本格格闘小説を得意とする。しかしながら商業デビュー直後はそのような得意ジャンル一本槍では無く、集英社コバルト文庫他で少女向け小説やジュヴナイル・ノベルなども執筆した。
安倍晴明を主役とした『陰陽師』シリーズは、近年の晴明ブームのきっかけとなった。
また漫画の原作となった作品も数多く、中でも『餓狼伝』は谷口ジロー、板垣恵介、『陰陽師』は岡野玲子、『荒野に獣慟哭す』は伊藤勢という実力派によって漫画化された。中でも「サイコダイバー・シリーズ」は手を変え、作者を変え、幾度も漫画化されており、アニメ化もされている人気作品である。
夢枕自身も漫画マニアであり、テレビ番組『BSマンガ夜話』の準レギュラーでもある。
旅行や釣りが趣味で、ヒマラヤ登山や、玄奘三蔵の歩んだ道を追体験するルート、アラスカの原野紀行などのハードな冒険にも挑んでいる。ヒマラヤ登山を扱った著作に、『神々の山嶺』がある。釣りに関しては、「川の学校」で講師を務める等造詣も深い、中でも鮎釣りに熱中しておりチンチン釣り(餌釣り)を得意としていて解禁日ともなると執筆意欲が削がれるほど鮎に焦がれてしまう。
ファン想いな面も強く、若いファンの過失を自らには過失が無いにも関わらず共に頭を下げたり、ファンの不幸に関しては見舞いや葬儀への参列も苦としないなど、人格者と慕われている。「子供はみんな可愛いけれど自分の子供が一番可愛い」と発言した事も有るが、人間の本性としてファン達には理解された。
本人は格闘技経験は無いものの、熱心なプロレス・格闘技ファンであり、その方面の著作も多数存在する。『空手道ビジネスマンクラス練馬支部』では、格闘技経験のない中年男性が武道に出会い、体験する様をリアルに描写するためにモデルとなった大道塾に一日入門し、倒れるまで稽古に参加した。プロレス業界では「関節技の鬼」の異名をとる藤原喜明に実際に数十の関節技をかけてもらうなど(本人いわく「自殺志願者でもあの痛みからは逃れようとするだろう(大意)」)、リアリズムの追求のための体当たりな取材には人気が高い。また、K-1の提唱者のうちの一人でもある。
オウムガイなどに代表される「螺旋」をモチーフにした作品も多く発表している。
数々の作品を手がけるが、複数のシリーズを平行して執筆しており、一部の中編(単行本一冊程度)を除き現在までに完結した長編小説は少ない。これは短い話の予定で始めたシリーズの構想がふくらんで長期化したり、さらに新たなシリーズを始めたりするためである。また雑誌の都合による休載作品もある。本人いわく、残りの人生(寿命)を逆算しても書き上げる事が出来るかどうか不安な程の構想を抱えていた。そのため2008年に刊行された『キマイラ』新版の序文において、「一作書き上げたら次の一作を書く」執筆方式にシフトし、2011年までに『キマイラ』と『餓狼伝』、及び『陰陽師』以外のシリーズ連載を全て終了させるという構想を語った[1]。
別名義でも作品を発表している[2]。
経歴
1977年
筒井康隆が主宰する同人誌『ネオ・ヌル』にタイポグラフィック作品『カエルの死』を発表。同品が『奇想天外』8月号に転載されデビュー。また、小説でのデビューは同じ『奇想天外』同年10月号に掲載された『巨人伝』(後に『はるかなる巨人』と改題。これは同人誌『宇宙塵』に紹介され、(柴野拓美が本質を掴めず、自宅から近かった事もあり直接説明を受けて納得して「宇宙塵」に掲載した物である)。
1982年
『キマイラ・吼』シリーズの第一作『幻獣少年キマイラ』をソノラマ文庫から刊行。
1984年
サイコダイバー・シリーズ「魔獣狩り」シリーズの第一作『魔獣狩り(淫楽編)』を祥伝社から刊行。一躍ベストセラー作家となる。
この儲けで豪邸を建てたため、「淫楽御殿」と呼ばれる。
1997年
『ハイエナの夜』がビームエンタテインメントにより映画化。
1988年
『陰陽師』シリーズの第一作『陰陽師』を文藝春秋から刊行。
1989年
第10回日本SF大賞を『上弦の月を喰べる獅子』で受賞。
1990年
第21回星雲賞(日本長編部門)を『上弦の月を喰べる獅子』で受賞。
1991年
第22回星雲賞(日本短編部門)を『上段の突きを喰らう猪獅子』で受賞。
1998年
第11回平成10年度柴田錬三郎賞を『神々の山嶺』で受賞。
2001年
『陰陽師』が東宝で映画化。主役の安倍晴明を狂言師野村萬斎が演じ、大ヒットする。
2003年
『陰陽師II』が劇場公開される。
手塚プロダクションの映画、『ぼくの孫悟空』の脚本を担当する。
2007年
『大帝の剣』が東映で映画化。4月7日より公開。
2011年
『大江戸釣客伝』で第39回泉鏡花文学賞受賞。
『大江戸釣客伝』で第5回舟橋聖一文学賞受賞。
2012年
『大江戸釣客伝』で第46回吉川英治文学賞受賞。
作品リスト
カエルの死
ねこひきのオルオラネ 1979.4 (集英社文庫コバルト) 「猫弾きのオルオラネ」ハヤカワ文庫
遥かなる巨神 双葉ノベルス 1980.12 のち文庫、角川文庫、創元SF文庫
キラキラ星のジッタ 1980.12 (集英社文庫コバルト)
幻獣変化(涅槃の王)1981.11 双葉社 のち角川文庫(完結)
「キマイラ・吼」シリーズ 1982.07- ソノラマ文庫、朝日ソノラマ単行本、ソノラマノベルス(未完)
「闇狩り師」シリーズ 1984.01- 徳間ノベルス、徳間デュアル文庫(1984.01-/未完)
サイコダイバー・シリーズ 1984.01-2010.10 祥伝社ノン・ノベル のち祥伝社文庫
「魔獣狩り・シリーズ」(完結)
「新・魔獣狩り・シリーズ」(完結)
悪夢喰らい 角川書店 1984.10 のち文庫
「獅子の門」シリーズ 1985.08- 光文社(連載中)
こころほしてんとう虫 ロマンチック・メルヘン 1985.3 (集英社文庫コバルト)
悪夢展覧会 徳間書店 1985.5 のち文庫
魔獣館 伝奇小説傑作集 祥伝社 1985.6
半獣神 光風社出版 1985.8 のち角川文庫
獣王伝 夢枕獏ワールド シャピオ 1985.10 のち角川文庫
倒れて本望 第一エッセイ集・プロレス入り 集英社 1986.2 のち光文社文庫
黄金宮シリーズ 1986.04- 講談社ノベルス のち文庫(未完)
「大帝の剣」シリーズ 1986.11- 角川ノベルス、角川文庫、エンターブレイン(連載中)
「印度怪鬼譚」シリーズ 1987.05-1989.05 徳間ノベルス
「餓狼伝」シリーズ 1985.07- 双葉ノベルズ のち文庫(連載中)
ハイエナの夜 ソフトボイルド・カメラマン 徳間ノベルス 1986.7 のち文庫、光文社文庫
風果つる街 実業之日本社 1987.2
ガキのころから漫画まんがマンガ 講談社 1987.3
怪男児 出雲あやめ18歳純情にして凶暴 集英社 1987.6 のち文庫
場外乱闘である 対談集 徳間書店 1987.8
歓喜月の孔雀舞 新潮社 1987.11 のち文庫、徳間文庫
青狼の拳 双葉ノベルス 1987.12
奇譚草子 講談社 1988.1 のち文庫、文春文庫
月に呼ばれて海より如来る 広済堂出版 1988.3 のち徳間文庫
悪夢で乾盃 角川書店 1988.4 のち文庫
「陰陽師」シリーズ 1988.08- 文藝春秋 のち文庫(未完)
格闘漂流・猛き風に告げよ 私説UWF伝 集英社 1988.8 のち文庫
幻花曼陀羅 講談社 1988.10
鮎師 講談社 1989.4 のち文庫、文春文庫
光の博物誌 Yumemakura Baku photo essay 小学館 1989.6 (Be-pal books)
風果つる街 実業之日本社 1989.8 (Joy novels) のち角川文庫
上弦の月を喰べる獅子 早川書房 1989.8 のち文庫
仰天・プロレス和歌集 集英社 1989.11 のち文庫
仕事師たちの哀歌 プロレス小説 集英社 1989.11 のち文庫
神々の国人の国 夢枕獏純情写真館 双葉社 1989.11
只今、獏談中 バトルロイヤル・トーク集 大陸書房 1989.12
旅に果てたし 獏の夢喰い浪漫 広済堂出版 1990.5
荒野に獣慟哭す 1990.04-2000.05 ジョイ・ノベルス のち完全版(完結)
神獣変化(涅槃の王)1991.12-1996.04 祥伝社、桃園書房(完結)
夢枕獏・あとがき大全 あるいは物語による旅の記録 波書房 1990.12 「あとがき大全」文春文庫
鳥葬の山 文芸春秋 1991.1 のち文庫
緑の迷宮 マヤ文明・ユカタン半島幻想紀行 ネイチャリングスペシャル 全国朝日放送 1991.11 のち小池書院道草文庫
仰天文学大系 集英社 1991.2 「慶応四年のハラキリ」集英社文庫)
妖樹・あやかしのき 1991.2 (徳間文庫) のち光文社文庫
牙の紋章 祥伝社 1991.4 のち文庫
混沌の城 光文社 1991.9 のち文庫
螺旋王 天野喜孝画 徳間書店 1992.1
戦慄!=業界用語辞典 講談社 1992.3 のち文庫
仰天・文壇和歌集 集英社 1992.5 のち文庫
夢枕獏少女マンガ館(編)1992.6 (文春文庫)
鬼踊りにて候ふ 波書房 1992.10
純情漂流 角川書店 1992.11 のち集英社文庫
空手道ビジネスマンクラス練馬支部 講談社 1992.12 のち文庫
仰天・平成元年の空手チョップ 集英社 1993.3 のち文庫
聖楽堂酔夢譚 本の雑誌社 1993.4 のち集英社文庫
生命の水の物語 夢枕獏の世界水紀行 日本テレビ放送網 1993.6
牙鳴り 祥伝社 1993.7 (Non novel) のち文庫
地平線物語 双葉社 1993.10
群狼の旗 ベースボール・マガジン社 1994.6 のち幻冬舎文庫
悦楽の旅人 PHP研究所 1994.8
西蔵回廊 カイラス巡礼 東京書籍 1994.9 のち光文社知恵の森文庫
夢枕獏の外道教養文庫 1994.10 (小学館ライブラリー)
その日暮らしの手帖 マガジンハウス 1995.1
瑠璃の方船 文芸春秋 1995.4 のち文庫
絢爛たる鷺 波書房 1995.5 のち集英社文庫
ほのかな夜の幻想譚 コスミックインターナショナル 1995.6
聖玻璃の山 「般若心経」を旅する 早川書房 1995.10 のち小学館文庫
雨晴れて月は朦朧の夜 波書房 1996.6 のち角川ホラー文庫
猫待ち月夜 その日暮らしの手帖2 マガジンハウス 1996.2
風太郎の絵 1996.10 (ハヤカワ文庫)
本朝無双格闘家列伝 新潮社 1996.11 のち文庫
本日釣り日和 釣行大全 あんず堂 1997.2 のち中公文庫
釣り時どき仕事 読売新聞社 1997.8 のち中公文庫
揺籃鬼の祭 初期作品集 双葉ノベルス 1997.8
神々の山嶺 集英社 1997.8 のち文庫
本日も夢見ごこち あんず堂 1997.10
羊の宇宙 たむらしげる絵 講談社 1998.2
平成講釈安倍晴明伝 中央公論社 1998.4 のち文庫
空気枕ぶく先生太平記 フレーベル館 1998.5 のち集英社文庫
仰天・夢枕獏 夢枕獏全仕事 特別号 夢枕獏事務所編 波書房 1999.1
果実の森 あんず堂 1999.10
B-1ザウルスの盃 行った、見た、遊んだ… 横山正美撮影 世界文化社 2000.7
黒塚 KUROZUKA 集英社 2000.8 のち文庫
腐りゆく天使 文藝春秋 2000.10 のち文庫
ものいふ髑髏 集英社 2001.8 のち文庫
鬼譚草紙 天野喜孝 朝日新聞社 2001.8 のち文庫
摩多羅神の贄 あんず堂 2003.8
空海曼陀羅 日本出版社 2004.4
沙門空海唐の国にて鬼と宴す 徳間書店 2004 のち文庫
シナン 中央公論新社 2004.11 のち文庫
夢枕獏全仕事 熱い幻想 一迅社 2006.4 (一迅社ビジュアルbookシリーズ)
楊貴妃 天野喜孝画 エンターブレイン 2006.6
格闘的日常生活 正続 講談社 2006-2007 (KCピース)
あめん法師 げんげんげんきげんきに濡れよ(詩)佐藤秀明写真 三五館 2007.7
薀蓄好きのための格闘噺 毎日新聞社 2007.9
獏さんのぽちぶくろ 日本出版社 2008.2
萬福寺 仙石泰山共著 淡交社 2008.3 (古寺巡礼京都)
毎日釣り日和 毎日新聞社 2008.5
東天の獅子 双葉社 2008
愚か者の杖 五大陸釣魚紀行 佐藤秀明撮影 徳間書店 2008.11
夢枕獏の奇想家列伝 2009.3 (文春新書)
月神祭 古代インド怪異譚 徳間ノベルス 2010.4
楊貴妃の晩餐 天野喜孝,叶松谷共著 角川書店 2010.4
天海の秘宝 朝日新聞出版 2010.7
投竿翁遊々日記 PHP研究所 2010.8
幻想を超えて アルボムッレ・スマナサーラ共著 サンガ 2010.6
超高層ハンティング
大江戸恐龍伝
「知るを楽しむ この人この世界 夢枕獏 奇想家列伝」NHK
パズル雑誌「ニコリ」にてエッセイを連載(終了)[3]
翻訳
サンドマン 夢の狩人-ドリームハンター /ニール・ゲイマン インターブックス 2000.10
出演
その他のテレビ番組
いのちの響(TBSテレビ)
ソロモン流(テレビ東京)2009年1月4日放送
マンガ夜話
きらり!東北の秋 秋の魅力満載! 東北ローカル鉄道の旅(2011年10月25、26日、BSプレミアム)旅人
脚注
^ ソノラマノベルス版『キマイラ』1巻、p.5-10
^ asahi.com(朝日新聞社):秘密ペンネーム、8人で筆名共有…変わりゆく「作家像」 - ひと・流行・話題 - BOOK
^ 夢枕獏公式HP 蓬莱宮
外部リンク
夢枕獏公式HP 蓬莱宮
夢枕獏公式Blog「酔魚亭」
夢枕獏『遙かなる巨神』創元SF文庫版まえがき
还没人赞这篇日记