『冥途の飛脚』上卷[译草]
其实近松净琉璃以社会剧(世話物)胜,从『曽根崎心中』起算,终其一生只作了二十四出,当中英语世界译介近半。我国虽早从六十年代便开始迻译,但迄今计上历史剧(時代物),总共也就六出。只是钱稻孙在未有前者的情况下,初试演绎即达到极高的地步,绝了后来者的道路。其所选译的社会剧,正是名声最著的『曽根崎心中』和『心中天網島』,为殉情故事的经典杰构。此外,还有犯罪、通奸、虚构等题材。几年前豆瓣日记的功能还很原始时,选译了『冥途の飛脚』几句;今年秋冬,在工作和翻译的间隙里,重又拾起来译,以为消遣。而本剧一向深受欢迎,经多番改编,搬演至歌舞伎,名为 『恋飛脚大和往来』 ,更为人所知。文学上,相较『心中天網島』中极显眼的女性之间的义理人情冲突,本剧则体现法意世情等社会与个人交错的道德矛盾。不安排反面角色,亦在一定程度上脱换了早期『曽根崎心中』的生涩。这里效颦钱译,博采各体,即韵用大辙,措辞则仿杂剧,而行文略夹杂些方言;然碍于知识与修养的匮乏,没有多汲取京剧的材料。同时,为避免直译过来的枯燥平俗,稍加衍译发挥,但这仍未离开钱译的策略。底本系据小学馆新编全集本,参看了岩波大系本及文库本。这里附的原文与底本无关,仅作参考;义太夫节的标记和注释兹一概略去。
上 卷
みをづくし難波に咲くやこの花の、里は三筋に町の名も、佐渡と越後の合の手を通ふ千鳥の淡路町、亀屋の世継忠兵衛、今年二十の上はまだ四年以前に大和より、敷金持つて養子分、後家妙閑の介抱故、商ひ功者駄荷積づもり、江戸へも上下三度笠、茶の湯俳諧碁双六延に書く手の角取れて酒も三つ四つ五つところ紋羽二重も出ず入らず、無地の丸鍔象嵌の国細工には稀男、色のわけ知り里知りて暮れるを待たず飛ぶ足の、飛脚宿の忙しさ、荷を造るやらほどくやら、手代は帳面算盤を奥口ともにどや/\と、千万両のやりくりも筑紫東の取りやりも、ゐながら金の由由さは、一歩小判や白銀に翼のあるがごとくなり。
难波荡漾,海标自沉, 浪华澹澹泛漪沦。 盛哉花开处,三条花街比并邻; 冶游越后串佐渡,买笑寻春。 助兴三弦奏,一个过门, 南北间,有只千鸟往来勤。
原来是,淡路町里新掌柜, 接手龟屋的忠兵卫, 正当年,如今二十有四岁。 四年前打大和老家上来, 揣带着资财倒赔, 做了这家的螟蛉子辈。
认的义母妙闲教导有方, 指点得买卖在行, 驮运估价,拿捏准当。 遣他上下江户,戴笠走三趟。 且工于俳谐,善点茶汤, 围棋、双六俱擅长; 不消说,修情笺, 字如其人柔婉畅。
好酒量,吃得三四五盏。 五处家徽素绸缎, 上好的外褂正合穿; 腰佩无纹圆镡短钿剑, 诚可谓,乡中异品, 此等丈夫真稀罕。
谙练人情,更知偎红倚翠, 不待天黑,早拔开飞腿。 这时候,飞脚驿内, 碌碌波波,打包拆货烦劳累。 二掌柜忙着记账打算盘, 屋里店面,人客来回。 千万两周转拨兑, 向筑紫、关东通汇, 坐筹从容任流水, 黄白插翅自如飞。
町廻りの状取立帰つて、『それ/\』と留帳付くるところへ、「誰そ頼もふ忠兵衛宿にゐやるか」と、案内するは出入の屋敷の侍、手代ども慇懃に、「ヤアこれは/\甚内さま、忠兵衛は留守なればお下し物の御用ならば、私に仰せ聞けられませ、お茶持ておじや」とあひしらふ、「イヤ/\下りの用はなし、江戸若旦那より御状がきた、コレお聞きやれ」と押し開き、「『来月二日出の三度に金子三百両差上せ申すべく候ふ、九日十日両日の中その地亀屋忠兵衛方より、右三百両受取り、内々申し置き候ふ事ども埒明け申さるべく候ふ、則ち飛脚の受取証文この度上せ候ふ間、金子受取り次第この証文忠兵衛に渡し申さるべく候』サこれ、この通り仰せ下された、今日まで届かぬ故、大事の御用の手筈が違ふ、なぜかやうに不埒な」と、鼻を、しかめて云ひければ、「ハヽ御尤も/\さりながらこの中の雨続き、川々に水が出ますれば道中に日が込み、金の届かぬのみならず、手前も大分の損銀、もし盗賊か切り取りか、道からふつと出来心万々貫目取られても十八軒の飛脚宿から弁へ、芥子ほども御損かけませぬ、お気遣ひあられな」と、云はせも果てず、「コレサ/\云ふまでもない。卸損かけては忠兵衛が首が飛ぶ、日限延びては御用の間が明くにより、それ故の詮索、迎ひ飛脚を遣はして、早速に持参せい」と徒士若党も刀の威光、銀拵へもうさんなる、なまり散らして帰りしが、
通城跑,收取文书字票, 旋踵回店里,登录在簿一条条。 乍闻:“劳驾,打搅, 忠兵卫可在宝号?” 问话是常光顾的旧交, 大户门下的武士僚。 【念白】众伙计连忙接待殷勤。
〔伊兵卫白〕“哟,这不是咱甚内爷么?忠兵卫一时出去没在呢,有什么东西想要传送江户的,尽管吩咐小的便是了。来人哪,快上茶。”
〔甚内白〕“不是不是,没有要送的物事,只是俺们江户的少东家寄来一书,烦各位且听——”
【念白】紧接着启信读道:
〔甚内白〕“‘差使下月二日归时赍金三百两,于九、十此二日间至龟屋忠兵卫处换兑。是三百两用以处置此前私托之事也。即飞脚所持收款字据,待金收讫,再交收条与忠兵卫。’——
书函里,言之凿凿, 时至今日却犹未收到。 害得错打了算盘, 安排的大事全乱套, 岂有此理!这是为何?” 气哼哼,根柢欲刨。
〔伊兵卫白〕“哎呀,所言极是、极是。这些日来可不阴雨连绵,没个消停么,江河到处都发了大水,路上不免要耽搁数日。故岂止您的款子收不到,就是我们小店也大折本了,——
还别说,若不巧, 偏生遇着个贼强盗; 抑在途中半道, 起了歹心卷款逃。 万万贯财万一短少, 尚有十八飞脚驿担保, 定当悉数赔偿, 无使顾客损分毫。 还请大爷莫心焦……” 话未待完,那人已说“好了好了”:
〔甚内白〕“还用得着你说吗?若是有一分叫少了,准斩了你家忠兵卫的脑袋!只怕日期迁延,可就要误事了——
此所以,特来问个分晓。 疾派接应的飞脚, 上紧带回款子为妙!” 这武士,官儿卑年纪小, 佩长刀,威光倒颇骄。 柄和鞘,银饰疑铅造; 腔与调,满口土音糙。 语罢回府,大摆大摇。
また、「頼みませふ/\中の島丹波屋八右衛門から来ました。江戸小舟町米問屋の為替銀、添へ状は届いたが銀はなぜ届きませぬこの中文を進ぜても返事もござらず、使を遣れば酢のこんにやくのといつ届けさつしやるぞ。『この者に渡して人をつけて下され、手形戻そ』と申さるゝサア、金子受け取らふ」と立ちはだかつて喚きける。主思ひの手代の伊兵衛騒がぬ体にて、「コレお使、八右衛門さまがそのやうに理屈臭い口上はあるまい、五千両七千両人の銀を預つて百卅里を家にし江戸大阪を、広ふ狭ふする亀屋、そこ一軒ではあるまいし遅いこともなふては、今でも旦那帰られたらばこの方から返事せふ。五十両に足らぬ金、あたかしましう云ふまい」嵩から出れば、気をのまれ、使は真面目に帰りけり。
〔伙计白〕“有人吗,有人吗?我是中之岛丹波屋八右卫门派来的。江户小舟町米店寄出的汇票兼附信都收到了,可钱怎么还没到呢?其间写信相催,也不见回书;支使人追问去吧,当小菜儿呢,几句话便打发回来了。就问你,多早晚才能送到我家?——
烦这厮把钱交割, 着人一同随我, 换了票据回去。 咱当家这般嘱托。 干剥剥,给钱别磨陀!” 伸手拦行高声喝。
替主着想的二掌柜, 伊兵卫,倒是沉稳以对:
〔伊兵卫白〕“哈呀,这位贵价,您八右卫门大爷说得差了,恁般没道理呢。咱们龟屋,收得下人家金财五千七千,走在江户、大阪之间,百三十里路,就跟自家里似的,不论远近,如履平地。——
敢情不只做你一家买卖, 总难免略有迟违。 待俺店主甫归, 自然答复毋庸催。 不就是五十两的零碎, 叫嚣口歹,若有怨怼。” 惧其咄咄凌威,吞声夹尾, 这来使只好老实返回。
母妙閑は炬燵の側離るゝことも納戸を出で、「ヤア今のはなんぞ、丹波屋の金の届いたはたしか十日も以前のこと、なぜ忠兵衛は渡さぬの、けさから二軒三軒の金の催促聞いてゐる、親父の代からこの家に金一匁の催促得ず、つひに仲間へ難儀をかけず十八軒の飛脚屋の、鑑と云はれたこの亀屋、皆は心もつかぬか忠兵衛がこの頃の素振りがどうも呑み込まぬ、昨今の者は知るまいが、じたいこれの実子でなし、もとは大和新口村、勝木孫右衛門といふ大百姓の一人子、不思議の縁でこれの世取に貰ひしが、世帯廻り商売ごと何に愚かはなけれども、この頃はそは/\と何も手に付かぬと見た、意見のしたいことあれど、せは/\云ふより云はぬ身を恥じ入らせふと思ふて目をねぶつても聞き所、見所は見てゐる、いつの間にやら大気になり、延の鼻紙二枚三枚手に当り次第、重ねながら鼻かみやる過ぎ逝かれし親父の話に、鼻紙びんびと使ふ者は曲者ぢやと云はれたが、忠兵衛がうちを出ざまに延紙三折づゝ入れて出て、なにほど鼻をかむやら戻りには一枚も残らぬ、身が達者なの若いのとてあのやうに鼻かんでは、どこぞで病も出ませふ」とよまひ言して入りければ、丁稚、小者も笑止がり、「早う帰つて下されかしと、待つ日も西の戻り足、見世さし頃になりにけり。
义母妙闲寸步不离被炉边, 也都起身走出了衣库间:
〔妙闲白〕“呀,今日出了什么事么?丹波屋的钱早在十日前着实收下了呀,怎么说忠兵卫没交付?今一大早就还有两三户催款来了。——
打从老爷开业之先, 咱家就未被催过一匁钱。 又不曾给同行累赘添, 我们龟屋此店, 堪称十八飞脚驿的龟鉴。 大家可有留心看:
〔妙闲白〕这些时忠兵卫神情举止是不是有些蹊跷?谅新来的伙计不知道,其实这小子并不是我的亲儿。原来是大和新口村一户大人家胜木孙右卫门的独生子,——
可惜了儿堂萱早谢, 由继母抚育提挈。 自己却暴弃怠懈, 乃翁怕他风流造孽, 想后思前,过养与我, 因继承下咱家业。 操持家计,买卖经略, 件件都周到无缺。 可近来见他心不在焉, 两手罔知所措也。
本想着,提个醒,好顿说。 转思度,岂非养母我, 也同后妈一样么? 与其多嘴饶舌, 无如缄口沉默。 教他自个,省思悔过。 便睁一只眼闭只眼, 不多过问干涉。 故意没看破, 倒不曾闲下耳朵。
〔妙闲白〕也不知打何时起,他就这么大手大脚起来了。像是擤个鼻涕吧,顺手伸来就是两张三张手纸儿,一把都给使了。过去咱老爷有训,道是不吝惜着用手纸的人么,肯定是个破家子。——
忠兵卫揣着三叠手纸出去, 这到底,该有多少鼻涕, 回来竟擤得不剩一张纸! 论身体,年轻有力, 怎么就成这样的鼻子? 没病也得擤出事!” 絮叨叨转身回屋里。 下人伙计,都动了恻隐意, 只盼望少东家能归来即; 等待之际,不觉日脚西, 又到了门店闭歇时。
籠の鳥なる、梅川に焦れて通ふ廓雀、忠兵衛はとぼとぼと外の工面内の首尾、心は蜘蛛手かく縄や十文色も出て来るは、『南無三宝日が暮れる』と足をそらに立帰り、門口には着きけれども、「留守のうちに方々の催促使、妙閑の耳に入つていかやうの、首尾になつたも気遣はし、誰ぞ出よかし内証を、とくと聞いて入りたし」とわが家ながら敷居高く、うちを覗けば飯焚の、まんめが酒屋へ行く体なり「きやつは木で鼻没義道者、たゞは云ふまじ、濡れかけて、だまして問はん」と思案する間にによつと出る、樽持つた手をしかと締むれば、「アレ/\旦那さんの/\」と声立つる、「アアかしましい/\コリヤ/\粋めおれが首だけなづんでゐる、思ひ内にあれば色外に顕わるゝ、目付きをそちも見て取つたか、可愛らしい顔付きで、気の毒がらすはどうじやいやい、いつそ殺せ」と抱き付けば、「エヽ嘘つかんせ、毎日々々新町通ひ、延の鼻紙二折三折、結構な鼻をかまんすもの。なんのわしらに手鼻もかみたふあるまい、あの嘘つきが」と振り切るを、また抱き付いて、「そちに嘘ついてなんの徳、コリヤ、実じや、実じや」と云ひければ、「ムヽそれが定なら晩に寝所へござんすか」「オヽなるほど/\忝ない、それについて今ちよつと問ふことあり」と云ひけれども、「アそれも寝所でしっぽりと聞きませふ、コレ旦那はん、必ず騙にさんすなゑ、そんならわしはお湯沸かいて、腰湯して待ちます」と云ひ捨て、振り切り走りけり。
颉颃的家雀, 爱慕间关笼中鸟: 忠兵卫想念得心焦, 常往梅川柳陌跑。 而今他,步履沉沉, 单惦记在外筹措、铺内闲劳, 扭麻花,回肠绞, 蛛结心事,纷错十字交。 “咦,十文路柳都出来了, 南无三宝,天色已不早!”
慌忙往家奔,疾若飞腾; 赶到门口外,脚步乍停。 最担心,自己不在家庭, 那其间各方催款事情, 传入妙闲的耳边厢。 若有谁出来面迎, 正好打听打听, 屋内如今是何情景。
欲进自家,左右为难; 立守门槛,朝里窥观。 适走来做饭的小万, 瞧样势,正要去酒馆。
“这婢子心枯肠冷难招架, 直截探问,想必无实话; 还索色诱,骗她,哄她。” 盘算间,人已出门,忙自相迓, 将她抱酒桶的手,一把抓, 唬得高喊:“哇呀!是主人家!”
〔忠兵卫白〕“嘿,快莫叫唤了,可憎才!你呀,把俺魂魄都勾去了,心内所思俱形于色,——
瞅瞅我这双情眼迷离, 怪你庞儿俊,好得人意! 逗引得怎生念念不已, 一发把俺活杀死!” 说着搂入胸膛里。
〔小万白〕“哼,休弄闲言语诈我。你成天成日价串新町花街,手纸儿是两叠三叠地使,你那鼻子可娇气了,如何就瞧上我们拿手按着鼻子眼儿擤的?——
好你一介谎乔厮!” 猛挣脱,还被抱回去: “我诓你,又有何益? 千真万真,不卖查梨!” 小万听他分辩如斯:
〔小万白〕“你说得既是果真,今夜里就到卧房找我吧。”
“哦,惭愧惭愧,自然必须! 说起来,还想问你一点事……” “便留到卧房慢慢儿议, 没得有半分欺弊, 奴家烧好水,泡澡等你。” 丢下话,抽身远离。
忠兵衛はうそ腹の、立煩ひてゐるところに、「北の町からいかつげに来るは誰ぢゃ、ヤア、中の島の八右衛門、きやつに逢てはむつかし」と、東の方へ、出違へば、「ヤコレ忠兵衛、はづすまい/\」と声かけられ、ヤ八右衛門この中は久しい、昨日も今日も 一昨日も、人やろ/\と思ふてなにやかやと延引した。めつきりと寒い、が親父の疝気は、婆様の虫歯は、アヽいかふ酒臭い過しやるな/\、明日は早々人やらふ、ヤコレれそが言伝てしたぞや、近日一座いたしたい」とたくしかくれば、
顿气得忠兵卫满腹怒火, 打北边刚巧走来谁一个。
〔忠兵卫白〕“哎呀呀,是中之岛八右卫门!——
遇见这货,兜搭必多。” 特故往街东头躲。 “哎喂忠兵卫!别跑,是我!” 叫出名字,不好再逃脱。
〔忠兵卫白〕“哟,八右卫门啊,好久不见!我昨日今日,就是前儿个,都寻思着遣人到府上去呢,忙东忙西团团转的竟耽搁到这地步了。——
今儿个,天寒地冷, 令尊疝气好些么? 令堂呢,虫牙如何? 哎,你看你酒气颜酡, 谩饮醉,谩豪酌。 明日一早即命人拜过。 对了,听你相好邀说, 改日一道去坐坐……” 八右卫门打住啰唆:
八右衛門、「おけやい/\/\口三味線に乗せかけても乗るやうな男でない、コリヤそちが商売は三度でないか、身が方へ上つた江戸為替の五十両はなんとして届けぬ、五日三日は了簡もあるぞかし、心易いは格別、高駄賃かくからは大事の家職十日にあまれど埒明かず、今日も使をやつたれば、手代めがかさ高な返事した、よもや脇へはそうもあるまい、八右衛門をなぶるかい、北浜靫中の島天満の市の側まで、親爺とも云はるゝ八右衛門、なぶってよくばなぶられふ、が金は今日受け取る。たゞし仲間へこたゑふか、まづお袋に逢はう」と、内へ入るを引留め、「さりとては謝つた、これ手を合はす、たつた一言聞いてたも、拝む/\」とさゝやけば、
〔八右卫门白〕“够了够了,哼唧三弦调儿呢,说得倒好听,老子可不吃你这一套。你这小子不是做三度飞脚的营生么,洒家那江户来金五十两,为什么还不到?迟个三日五日的也就罢了。咱哥俩交分再深还当别论,既收得运脚价高,自是要紧的大生意了,可过去十多日都没见着落,所以今儿也差使人来问个端的。您那二掌柜的,好厉害,装幺做大顶了回来,难不成对着别家贵客都这么横?还是专调弄我八右卫门吗!——
从北滨、靭到中之岛, 乃至天满市之侧地界, 都尊我八右卫门一声爷; 也罢,想耍就耍,要谑则谑, 左右速将金资兑却, 既不沙,莫怪遍告同业! 容我且先与老夫人叩谒。” 霎听闻,急忙去路截, 苦遮留,紧牵曳, 蓦见他低声嚅嗫: “请受小的赔礼逊谢, 看俺合掌告饶不迭, 但求垂聆一辩解, 央及爹爹,央及爹爹。” 料又是嘴上乖觉, 不耐烦,更不屑。

「また口先で済まそふや、梅川をだましたと男の意気は逢ふた、云ふことあらばサア聞かふ」と苦々しくきめつけられ、「これ、その声を母が聞けば死んでも一分立たぬこと、一生の御恩ぞさりとては面白ない」とはら/\と泣きけるが「なにを隠そふこの金は十四日以前に上りしが、知つての通り梅川が田舎客、金づくめにて張り合ひかける、この方は母手代の目を忍んでわづか二百目三百目のへつり銀、追い倒されて生きた心もせぬところに、請け出す談合極まつて手を打たぬばかりといふ、川が歎き、われらが一分、すでに心中する筈で、互の咽へ脇差のひいやりとまでしたれども、死なぬ時節かいろ/\の邪魔ついて、その夜は泣いて引別れ、明くれば当月十二日、そなたへ渡る江戸金がふらりと上るをなにかなしに、懐に押込んで新町までいつ散に、どふ飛んだやら覚えばこそ、だん/\宿を頼んで、田舎客の談合破らせ、こつちへ根引の相談しめ、かの五十両手附けに渡し、まんまと川を取り留めしも、八右衛門といふ男を友達に持ちし故と、心の内では朝晩に北に向ひて拝むぞや。
〔八右卫门白〕“你瞒骗梅川的伎俩,在老子这里是不中用的。你既有话要讲,我便姑且听之吧。”
那人吞吞吐吐讪讪: “这话头,勿叫娘听见, 饶死了也丢尽一分薄面。 大恩大德,没齿难谖, 细说来,羞愧没嘴脸!” 忍不住泪滴涟涟, “没什么犹可相瞒, 十四日前,确已接得来款; 谅也情知,原有个村厮热赶,
〔忠兵卫白〕一意儿争风,舍得在梅川身上浪掷。我么,瞒过了干妈和二掌柜,东挪西凑也就只有两三百匁的银子,——
究竟被压倒,无法儿匹敌, 想到则垂头灰心丧气。 恰这时,村夫合商赎身事, 听说都已击掌定议。 川妹哀叹息,吾亦没面皮。 终决计,双双殉情死: 抽刀互向咽喉抵, 霜刃寒逼,毛发悚立, 暗忖莫非未到命了期, 纷纷扰扰无休止, 终不遂求死二人意? 当夜里,生扢扎洒泪分离。
翌日便是这月十二, 没揣的,江户寄来你银钱, 鬼使神差,衣怀内敛。 浑不知怎许飞身似箭, 奔往新町一溜烟。 唯记取,向楼主哀求苦劝, 重论她身价赎典。
径动用足下五十两为订, 才搁开村妆孤的旧要; 周折挽留,川妹暂保, 亏杀你八右卫门这素交。 为此故,心中暮与朝, 每望向北方虔拜祷。
さりながらいかに懇ろなればとて、さきに断り立て置いて使へば借るも同前、跡ではいかゞと思ふうちその方からは催促、嘘に嘘が重なつて初手の誠も虚言となれば、今なにを云ふても誠には思はれじ、されども遅ふて四五日中ほかの金も上る筈、いかやうとも仕送つて一銭一字損かけまじ、この忠兵衛を人と思へば腹も立つ。犬の命を助けたと思ふて了簡頼み入る。これを思へば世の中にお仕置者の絶へぬも道理、この上は忠兵衛も盗みせふよりほかはなし、男の口からかやうのこと、云はれふものか推量あれ、咽より剣を吐くとても、これほどにはあるまじ」と絞り、泣きにぞ泣きゐたる。
便如是,兄弟交情再铁, 事先打照会,用了还算借; 过后才商量,自当如何曰? 踌躇间,你来催促切。 只好以谎弥缝,妄语堆叠, 原来情实全做假话捏。
故如今饶我说千道万, 料你也断不会轻信一言。 最迟不出四五天, 又会收到外边的款; 匹先里,必迭办, 把欠你的奉还, 准不叫一文一字缺短。
若拿我, 忠兵卫这厮当人相, 必烧无明火一腔; 聊当做, 打救了一条癞狗的命, 告求你大人有大量。
如此想,按理说, 怪道天下永难绝奸恶; 因此上,忠兵卫我, 没奈何,唯有做盗贼。 恳祈垂察,男子汉家, 口里竟吐出这等的落拓, 无异喉中呕剑煞折磨!” 泪雨沾襟,涕泗滂沱。
鬼とも組まん八右衛門、ほろりと涙ぐみ、「云い憎いことよふ云ふた、丹波屋の八右衛門男ぢや、了簡して待つてやる、首尾よふせよ」と云ひければ、忠兵衛土に額をつけ、忝い/\父二人母三人、親は五人持つたれどもその恩よりは八右衛門、貴殿の御恩忘れぬ」とかふは、涙ばかりなり。
竟连和恶鬼厮扑的强梁, 八右卫门那副铁打心肠, 也不忍丈夫泪盈淋浪。
〔八右卫门白〕“说得出这等甚难启齿的话来,我丹波屋八右卫门,堂堂大丈夫,再多等等便是了,你自己好生看着办吧。”
忠兵卫磕头抢地稽颡: “至感至感,荷佩无量!” 承欢亲爹义父,生母后妈契娘, 虽念这五亲慈恩深广, 难赛如八右卫门大贤良, 再造的厚德莫能忘! 感激涕零复摧藏。
「そふ思へば満足、サア人も見るそのうち」と立ち別れんとせしところに、内より母の声として「ヤア八右衛門さまか、忠兵衛これへ通しましや」と、声かけられて、詮方なく、もぢ/\連れ立ち入りにけり。
“见你这般感念,我亦足矣! 作速起身,恐怕遭人觑, 你我后会有期!” 言语毕,快步将辞。
欲离时,屋内传出义母话: “诶,八右卫门大人没错儿吧? 忠兵卫,还不请尊客来家? 高声呼唤,不好装聋作哑, 没办法,扭扭捏捏势煞, 偕同一道把门儿齐跨。
母は律儀一遍に、「さきほどはお使、また御自身のお出で、御尤も御尤も。コレあなたの金の届いたは十日も以前なんとして延引ぞ、胸にとつくと手を置いてよふ思案してみや、遅ふ届けば飛脚はいらぬ、なにがそなたの商売ぞ、サア今渡してあげましや」と云へども渡す金はなし、八右衛門も底意は聞く、「コレお袋恥づかしながら八右衛門が五十両や七十両、急にいることもなし、これよりすぐに長掘まで参れば、明日でも」と立たんとすれば、「イヤ/\大事のお金預れば気遣ひで夜も寝られず、ノウ忠兵衛、きり/\渡しや」とせり立てられ、『あつ』と云ふより納戸に入り、うろ/\しても、金はなし、入れもせぬ戸棚の錠開ける顔して、ぴんといふ鍵の手前も恥づかしく、
义母心地耿直,厚道守分, 见客登门,问候谆谆: “先时候,阁下曾派人来问; 适如今,怎叨大驾光临, 折煞老身也,折煞老身!
〔妙闲白〕论说大人要的钱,在十日以前早到了,为何你小子迟迟还未给人家送去?拿手儿按在自己的良心上,好好儿叩问叩问自己,替人送点子东西都恁般慢帐,我看也不必做甚飞脚了,你到底做的是什么经纪?——
兹正好,当面交付款项。” 空手难支对,点金恨无方, 八右卫门既悉始末端详, 逞肝胆义气,替他掩藏: “老夫人,恕晚生挺撞, 某八右卫门又不着慌, 并不缺这五七十两; 且如今就要到长堀一趟, 不妨待明日再商量?” “怎么可以,岂会无伤?
〔妙闲白〕保管着这么一笔要款,我可愁得夜里都睡不着。——
喂,忠兵卫,还不从速? 休违误,各扎邦交付!” 急催促,无奈唯唯支吾, 走进衣库,踌躇踯躅踟蹰; 穷愁苦,哪飞来一星青蚨? 徒面对不闻钱响贫柜橱。 乔张致,慢把锁钮拆除, 巴答一声,钥启眉心蹙。
胸に願立て神おろし狂気のごとく気をもみしが、『ヤレありがたや、この櫛箱に焼物の鬢水入れこれ氏神』と三度戴き紙押し広げくる/\と、駿河包に手ばしこく金五十両墨黒に、似せも似せたり五十杯、母には一杯参らせし、その悪智恵ぞ勿体なき。
心里边,暗中祷愿, 求神灵验,望佛法显, 备受熬煎近狂癫, 柜门开,巧瞥见: “咦,谢过老苍天! 有只发油瓷缸于妆奁, 畅好是,祖宗神明保佑全!” 举手加额,称庆三番。
取将来,铺开纸一张, 骨碌碌,卷做真金假冒, 急匆匆,骏河样式封包; 包裹上,浓墨挥毫, “金五十两”疾书草草。 赚义母吃下一杯迷魂醪, 五十杯,灌得昏头搭脑, 坏墨水肚子颇不少。
「コレ/\八右衛門殿、今渡さいでも済む金ながら母の心を休めるため、男を立つるそなたと見て詮方なふ渡す金、さつぱりと受取つて母の心を安めてたも。包は解くに及ぶまじ、いらふて見ても五十両、サどふしてたもる」と差し出す。八右衛門手に取つて、「ハテ誰ぞと思ふ、丹波屋の八右衛門、受け取るに仔細はない。コレお袋、江戸為替確かに受け取りました。不動参りに待ちます」と立つところを、妙閑誠と思ひてや、「コレ忠兵衛、仕切為替の作法は金と手形と引替へ、もし御持参なきならば一筆ちよつと書かせましや、ものは念じや」と云ひければ、「オヽそれ/\、母は無筆の一文字も読まれねども、しるしばかりに一筆」と硯出して目配せすれば、「易いこと/\忠兵衛、文言これ見や」と、筆に任せて書き散らす。
〔忠兵卫白〕“来来来,八右卫门大人,这钱不是非得今儿给你不可的,只为使母亲宽怀,——
看在你是条英雄汉, 当下里交清财钱。 好生收稳妥了, 这下母亲也心安。
〔忠兵卫白〕不用再拆封查验了吧,这里正好五十两不多不少,就问你收下不收下?
【念白】说着递将过去, 八右卫门伸手接之:
〔八右卫门白〕咳,你把俺当做什么人?洒家,丹波屋八右卫门!不啰嗦,这就收下。看,老夫人,江户来款俺真真切切收到了。——
待哪日,你老参拜不动寺, 我定当招接再聚。” 妙闲信以为真,犹言语: “忠兵卫,我的乖儿,
〔妙闲白〕按理应拿批子兑换,一手交钱一手交汇票;若是大人一时没带在身上,辛苦他写个字儿且做凭证者,——
还是谨慎为宜。” “哦哦,遵命,好的。 虽娘亲目不识丁,未会写字, 劳动了,代书一笔为据。” 弄眼偷示意,砚台传递。 “一桩小事,轻而易举。 忠兵卫,这么写你看可不可以?” 漫经心,随手拈来信笔:
『一ツ金子五十両受け取り申さず候。右約束の通り晩には廓で飲みかけ、我等はたいこ実正明白なり。何時なりとも騒ぎの節きつと参上申すべく候。依つて紋日の為鬢水入件の如し』と、あほうのたらだら書き散らし、「さらばお暇申さう」と、表へ出づれば、妙閑は、「書いたものこそもの云へ」と、まただまされし正直の親の心や仏の顔も、三度飛脚の江戸の左右待つ夜もやう/\更けにけり表に馬の鈴の音、「コリヤ/\駄荷が着いたぞ、中戸々々」と声高に、手んでに葛籠、かたげ込む。忠兵衛親子機嫌よく、「サア拍子が直つた来年も仕合せ馬、馬子衆に酒よ煙草よ」と、硯控へつ帳付けて、家内どんどと賑へば、
〔八右卫门白〕“一、未收得金五十两,证明如右。值今夜行院摆酒,兴会淋漓时节,鄙人必当赴局,以打鼓侑宴,谨兹捺大鼓图章,真切分明。——
为庆烟花节会, 收取一具发油缸。” 涂抹胡乱,傻话荒唐, “得闲儿再拜访。” 告辞别去扬长。 妙闲因觉稳当: “白纸黑字,定无虚诳。” 谁承想, 又骗过亲慈心的端方, 还瞒住佛慈面的善良; 但凭低眉宝相, 恼犯一再而三, 也索化努目金刚。 子母俩,翘首以望, 三度飞脚,捎带江户的影响; 盼消息, 不觉更漏渐深,夜色茫茫。 街外马铃摇,玎玎珰珰, 旋即传报声张: “喂喂,驮运的货来将, 中门哎,把中门开敞!” 七手八脚卸下藤编箱, 忠兵卫母子意快神爽: “好哇,时转济得运道昌, 马到成功,来年福同旺。 快给马夫筛酒递烟枪!” 唤人备下笔砚,开册记账。 店铺内愈加繁忙。
手代の伊兵衛けうとげに、「ノウ堂島のお屋敷から『金三百両九日に来る筈、先状が上つた、なにとて遅い』とお侍の甚内殿が睨め付けて帰られた、なんと/\」と云ひければ、宰領が打飼より、「その三百両合点、これ急々の御用今夜中にお届け」方々の為替金高八百両、ぐはらり/\と取り出す、忠兵衛いよ/\勢ひよく、「白銀は内蔵へ、金子は戸棚へ、母者人わたしは直にこの小判、お屋敷へ持参する。人の金を預れば表も気をつけ早ふ締め、火の用心が第一、戻りはちつと遅ふても、駕籠で行けば気づかひない、夜食しまふてはや寝よ」と、
二掌柜的伊兵卫, 心下疑猜自恼:
〔伊兵卫白〕“兀的堂岛那大户人家,三百两金的票据先至,而九日还没见送来,问为何这么迟,当时甚内武士官人气冲冲回府去了,这又是何缘故?”
解送的领队掏腰包, 豁啷啷倒出镠与镣: “清点下,这里三百两正好, 此至急,今夜即须送到。 各家兑付八百两一并交。” 忠兵卫看得越发气茂: “白银库中藏,黄金柜里韬。 娘,俺这就直奔客官, 送金四开去了。 既收下人家的响钞, 仔细门户,今日关闭宜早; 小心火烛,最为紧要。 我略迟方能回到, 毋担忧,路上叫顶篮轿。 你用过晚饭,早些睡觉。”
金懐中に羽織の紐、結ぶ霜夜の門の口、出馴れし足の癖になり、心は北へ行く/\と、思ひながらも身は南、西横掘をうか/\と、気にしみづきし妓がこと、米屋町まで歩み来て、「ヤア、これはしたり、堂島のお屋敷へ行く筈、狐が化かすか南無三宝」と引返せしが、「ム、われ知らずこゝまで来たは、梅川が用あつて、氏神のお誘ひ、ちよつと寄つて顔見てから」と立帰つては「いや大事、この金持つては使ひたからふ、おいてくれふおいてくれふ/\おいてくれふか、いて退けう/\/\/\いて退けうか、イヤ/\やっぱりおいてくれふ/\/\/\おいてくれふか、いて退けういて退けう/\/\いて退けうか、……、エ、行きもせい」と、一度は思案二度は不思案、三度飛脚。戻れば合はせて六道の、冥途の、飛脚と
金钱揣进怀中捂, 把外褂纽带系结束; 结霜夜里,大门甫出, 双腿认道儿不自主: 心思欲朝北, 身体惯南赴。 惝惝恍恍惚惚, 不觉来到西横堀, 惦记着意中的花姑娘, 赤紧的迷入米屋町处。
〔忠兵卫白〕“嗐,合当去找堂岛的主顾才是!南无三宝,一定是撞着狐狸精了!——
【念白】连忙折返回头路, 心地偏,朝秦暮楚: “唔,来到此地,糊里糊涂。 敢莫是社神特意牵引渡, 领我叩开梅川户? 则何妨,顺道稍与面晤?” 转身迈足,幡然醒悟: “不不,此行为要务, 切不可擅动人阿堵。 不去,去不? 去又何如!” 一度思量,二度不思量, 没掂三,三度飞脚踱步, 来回往复,逡巡六度, 痴飞脚,终踏上六道冥途。(上卷完)